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感染の基礎知識
感染の成立
感染とは、微生物が生体内に侵入し、生体内で定着・増殖し、寄生の状態になった場合を「感染した」といいます。感染が成立するためには3つの要素(感染の3要素)が必要です。
これら3つの要素のメカニズムは「感染の連鎖」と呼ばれており、この連鎖を断ち切ることが感染管理の原則になります。米国疾病センター(CDC)では、感染管理として以下分類にて具体策を示しています。
1、標準予防策
2、感染経路別予防策
3、職業感染対策
感染の種類
感染症法

『感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症新法)』が1999年4月1日より施行され、それまでの「伝染病予防法」、「性病予防法」、「後天性免疫不全症に関する法律」が廃止されました。これにより、感染症予防法と結核予防法の法律に基づいて、市井感染を含む感染症に対する国家的な措置が講じられるようになりました。

また、重症急性呼吸器感染症(SARS)などの発生を踏まえて、2003年11月5日「感染症新法」の改正が行われ、「感染症法」として施行されました。2006年12月8日に公布された「改正感染症法」により結核予防法が廃止され、結核は感染症法では二類感染症法に位置付けて総合的な対策が実施されることとなりました。「改正感染症新法」では届出疾患が追加され、また生物学的テロや事故による感染症の発生・まん延を防止するため、病原体等の管理体制を確立する目的で、新規に「特定病原体等」に関する項目が制定されました。

さらに2008年5月2日に公布された「改正感染症法」により指定感染症に指定されていた鳥インフルエンザ(H5N1)が2類感染症に変更になり、新しい類型として”新型インフルエンザ等感染症”が制定されました。
微生物について
感染の原因となる微生物とは、普通肉眼では見えず、顕微鏡で拡大して初めて観察できる極めて微小な生物群です。この微生物によっておきる病気は、かつて「疫病」と呼ばれ、人間を長きにわたり苦しめてきました。医学の歴史は、ある一面において、この微生物との戦いの歴史ともいえます。
注)平成21年現在
感染対策
標準予防策(Standard Precautions)

1996年にCDCが発表した予防策で、「Standard Precautions」(スタンダードプリコーション)と呼ばれ、感染の有無に関わらず、血液・体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜を介する、微生物の伝播リスクを減らすために、すべての患者に対して、下記の対策を講じる事を推奨しております。

1、手指衛生
2、手袋
3、マスク、ゴーグル
4、ガウン
5、器具
6、リネン
院内感染防止

院内感染を防止するには、感染経路の遮断が中心となります。院内感染の感染経路には人・物・空気などがあります。

人 頭髪 キャップの着用
飛沫 マスクの着用
手指 手洗いの励行、手袋の着用
着衣 着衣の制御・滅菌
覆物 塵埃の制御
物 使用される器具 滅菌(無菌操作)されていること、ディスポ製品の使用
空気 HEPAフィルター使用による無菌室(クリーンルーム)
院内感染防止

院内感染と判断されるには一般的に次の要素があげられます。

1、感染に対して抵抗力の衰えている患者の増加
2、重篤な基礎疾患を有する患者・未熟児・新生児・老人など
3、抵抗力を低下させる治療法や検査法
4、免疫抑制剤・抗がん剤・カテーテル・大手術・化学療法剤
5、正常な防御機能の障害
6、手術・カテーテル・透析のためのシャント・気管切開
7、科学療法剤、第3世代抗生物質等の長期服用
8、多剤耐性菌の増加・日和見病原菌の増加
9、病室の構造と同室の問題、病院内の汚染
10、外部からの見舞客、医療従事者の問題
11、消毒剤あるいは滅菌法の選択の間違い            その他

院内感染対策の動向
院内感染対策と診療報酬
平成8年の診療報酬改定において、新たに「院内感染防止対策加算」が新点数として設定されました。その後、平成12年の改定からは感染対策は常識的なものとの意識改革から減算評価に変更され現在に至っています。
院内感染対策 その他
■ICD制度創設(1999年4月)
■感染管理認定看護師制度(2000年)
■国立大学附属病院感染対策協議会(2000年10月設立)
■院内感染対策担当専任配置の制度化(2004年1月)
■院内感染対策委員会[ICC]や院内感染対策チーム[ICT]の設置
手術部位感染(SSI:Surgical Site Infection)
SSI(手術部位感染)とは、傷感染・腹腔内感染・腹腔内膿傷のことを指します。いずれも手術後30日以内(インプラントのある場合は1年以内)に起きた感染を言います。SSIにはドレーンからの逆行性感染や、呼吸器感染、尿路感染などの遠隔部位感染は含みません。
背景と米国の現状

SSIが注目されるにいたったのは、

1、皮膚や皮下組織のみの感染ではなく、感染のリスクの高い『手術』という医療行為での手術部位感染を防止する。
2、医療現場の『感染』に対する医療従事者および患者の意識変化
3、1999年にCDCにて手術部位感染防止ガイドラインが発表された

などが背景としてあります。

米国ではCDC病院サーベイランスシステムNNIS(National Nosocominal Infection Surbeilance)により20年以上前からSSIのデータ収集が行われており、その膨大なデータが病院の感染管理指標としてフィードバックされています。その発表の一部では全米の入院患者の14〜16%が感染しているとされ、発生部位は手術創部のみが3分の2、残りの3分の1は、手術を行った臓器やその周辺に発生しているとされています。また、SSIに罹患し死亡した患者の実に77%がこのSSIが原因だと報告されています。
予防策

手術部位感染を減少させるため、CDCでは、以下のような観点から臨床データに基づく手術野危険因子と予防措置を解析しています。

■術後感染症防止の抗菌薬の使用法と選択
■患者の合併症の管理
■消毒と手術室の環境管理
■医療従事者の消毒・感染管理